症例

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鍼灸治療が初めての方は、自分の症状はどれぐらいの頻度で、どの位の期間通えばいいのか知りたいと思います。
その方により体質、病歴、病の程度が違いますので、実際に診察してみないと何とも言えませんが、一般的には病にかかった期間が長かったり、病状が重ければそれだけ治療期間もかかり、病状が軽かったり、病に罹ってから日が浅ければ、治療期間は短くなります。

通院頻度としては、1回目の治療作用が消えないうちに2回目の治療をしたほうが効果が高まりますので、最初のうちは週に2~3回、症状が緩和してきたら週1回、10日に1回というように間隔をあけていくのをお勧めします。

長期にわたる疾患の場合、数回治療しないと変化が表れないことがありますが、その間に一番つらい症状だけでなく、その他の気になる症状が緩和されるなど、何らかの良い効果が期待でき、体が快方へ向かっているのを感じられると思います。

鍼灸治療を継続するなかで、もし不安な事や、心配事、疑問がありましたら、いつでもお気軽にお話ください。
多くの症例のうち一部を載せましたが、例え同じ病名でもその方の症状の程度や生活環境、食生活、仕事の状況などにより、治り方や治るまでの時間が違いますので、それをご理解のうえ、参考にしていただければ幸いです。

更年期障害 (不安感・恐怖感・意欲の低下)

初診2017年4月19日 54歳女性

症状 2016年1月仕事中意味なく不安になる 胸のザワザワ 自宅では急に怖くなり襲われる感じ
加味逍遥散でおさまる 恐怖感はなくなるが不安感は残る
2016年2月閉経

2016年5月仕事辞め、他院にて鍼灸治療を受ける(5月~10月) 徐々に良くなり不安感・動悸はあるものの春には良くなるだろうと明るい展望が出来るようになる
友人とランチしたり外出もできた

2017年1月の寒い日、冷えと疲れから今までに感じたことのない不安感・動悸・不眠・食不振が2~3週間続いた
友人とランチ中不安でどうしようもなくなり帰る 以後友人の誘いは断っており会っていない

2017年2月心療内科で加味帰脾湯 桂枝加竜骨牡蠣湯 六君子湯を処方され2週間で不安感が落ち着いてくる

現在の状況 今まで難なくできたことに対して不安になる その不安も何ものかわからないので怖くなる
働きたいが意欲がわかない イライラもある

治療経過 閉経期におこる急激なホルモン変化による更年期障害ですが、東洋医学的に心脾両虚、肝鬱血虚と症をた益気補血 健脾養心 疎肝理気 補腎益精を目的に治療をしました
治療後は弦脈がゆるみ、手掌のほてりと足の冷えがとれました。自宅でもお灸をしてもらうように指導させてもらいました
最初2週間は週2でその後は週1で治療

最初1か月は胸のザワザワあったり調子のいい日があったりでしたが、1か月を過ぎるころから胸のザワザワが気にならなくなり日帰りですが遠出もできるようになる

5月の終わりには友人と夜外食もできるようになり不安感をあまり感じなくなる

元々梅雨の時期は体調が悪いのですが、6月梅雨に入り不安感が強くなったり、やる気が出なかったり、体のだるさがあり、友人と食事に行くのが不安になる
補腎を強化すると8月ごろには又調子がよくなり胸のザワザワ不安感はほとんんどなる 泊りで旅行に行けたり、友人とも不安なく食事にいける

9月に施術者が産休にはいり治療は一旦休止しましたが、2018年7月現在仕事も週2回行けるようになり、不安感もなく過ごされています。
体表観察としてツボの状態をみるのですが、初診当初は腎と脾と心のツボの虚が激しく、ベコベコで全く力がない状態でした

治療をするうちにそのツボの状態が良くなり、張りが出てくるのと並行して体調も改善していき、今では体つきもふっくらし顔色もよくなりました

コメント この方はベースが脾の弱りなので胃腸の働きを強化するように毎回治療し、その日の訴えに応じて疎肝を意識したり補腎をして治療していきました
閉経前後5年ずつを更年期と呼びます

45歳から55歳頃に更年期を迎える方が多いですが、この時期に検査では特に異常ががないけれど、身体的症状や精神的症状(ホットフラッシュ・めまい・頭痛・全身倦怠感・不眠・憂鬱・不安・やる気のなさ・落ち込み)を呈するものを更年期症状と言い、それが酷くなり日常生活に支障をきたす状態を更年期障害と言います

西洋医学では急激な女性ホルモン低下をホルモン補充療法で治療するのですが、ホルモン補充が出来ない方、副作用が気になる方は東洋医学(漢方・鍼灸)での治療を希望される方も多いです

鍼灸治療は自律神経やホルモンバランスを整える、リラクゼーション効果、血流改善を期待できます

今回の症例は更年期に自身の環境の変化や疲れをきっかけに精神症状を発症したケースです

東洋医学的に今の体の状態や発症機序をご説明したり、治療後の体の変化(脈や舌、ツボの状態の改善)をお伝えすることでご本人も納得されたり安心された様子でした
コミュニケーションがうまく取れ治療が奏効した一例でした


酒さ(頬の赤み、ほてり、ブツブツ) 

初診2017年3月初旬 31歳女性

症状 頬の赤み・ほてり・ブツブツ(丘疹) 首の赤み・痒み
2014年11月 第1子出産
2015年9月 月経再来 その頃から頬にニキビに似たブツブツ(丘疹、膿疱)が出来る。
2015年11月 断乳
2015年12月 頬の赤み、痒み、ほてり酷くなる。
2016年1月 皮膚科1・2件目ステロイド(ロコイド)塗らないと再発
2016年3月 皮膚科3件目で酒さと診断され、抗生剤服用して翌日から改善。服薬期間を徐々にあけ1か月半で中止。その後は漢方を飲み続け悪化はしていない。
2016年5月 ご主人の転勤で名古屋へ引っ越し漢方薬局で漢方処方してもらうが不変。

緩解 午前中 月経中 化粧水で冷やす
悪化 月経前(1週間前からブツブツ↑↑) 寒暖差の激しい場所を行き来する 13時~15時急に頬がほてる(ほてると足が冷えている)
 昼以降 入浴後 昼・夕食後 日光 夏 冬の寒風

上熱下寒 血熱による皮膚紅斑・ざ瘡 清熱解毒を目的に少数鍼で治療

浮渋数脈 眼けん結膜充血 淡紅舌薄白苔 舌先紅刺 足首から下は発汗してとても冷えている
左太衝 実・熱 左心兪~膈兪 実 左側腹部緊張

治療経過 週2ペースで治療
2診目 前回後2日間、午後からの急なほてりなし 頬の赤み(↓↓)ブツブツ(↓)首の赤み(-)浮滑数脈
 
3診目 前回から午後からの急なほてりなし 今少しほてりあり 頬の赤み(+) 滑数脈 舌先紅刺(↓) 治療後脈が遅くなる(熱が取れた証拠)
4診目 午後からの急なほてり軽い 赤み減ってきている

週1ペースで治療 
5診目 午後からの急なほてりだいぶ減るが、一昨日から鼻の周りにプツプツ 時々痒い 頬赤み(↓↓)

6診目 日に当たるとのぼせるが30分から1時間でひく、他(-)。 プツプツ(-) 舌先紅刺が減り、以前より脈が遅くなる
 
7診目 2日前に今までと違うメーカーの化粧水を使用したら顔が真っ赤になり、むくみ痒み まぶた(右<左)痒く腫れ 顔全体赤み(+) プツプツ(+)
    背部にある清熱解毒効果のあるツボから刺絡 治療後痒み落ち着き、脈も遅くなる

8診目 前回治療翌日には顔の赤み プツプツ 瞼の腫れがひく

コメント 8診目頃には足の冷えがマシになり、舌先の紅刺がほぼ目立たなくなり、脈も緩脈やや数となりました。
このことは症状の緩解と比例して身体所見も上に昇っていた熱症状がとれてきたことを表しています。
また刺絡をすることで、速やかに腫れ・赤みがひいたことも熱が取れたことを表しています。
抗生剤やステロイドを使わなくても、体質を改善すれば症状は緩解することが証明された一例でした。

慢性蕁麻疹

平成28年1月 36歳女性

症状 2014年11/1第三子出産 妊娠中授乳中は蕁麻疹なかったが、2015年11月卒乳したら全身に蕁麻疹がでだす。12月月経再開。
月経2~3日前からポツポツでだし、1日~3日目まで酷い。悪化要因 夕方以降 風邪をひく 寝不足 日光 雨天前、雨天 下着の当たる箇所 
赤く膨隆状に広がり、出だしが痒いが出てしまえば痒みなし
随伴症状 頭痛 毎日 起床時こめかみ辺りがジーンと重痛い 毎日頭痛薬服用 妊娠中は頭痛なし
血液検査ではアレルギーなし 第1子出産後から抗核抗体80倍(膠原病の疑い)
現在抗アレルギー剤3種類服用中 数日前から頭痛薬中止している 飲酒 週末ワイン2~3杯 睡眠6時間
脈沈数 淡紅舌やや暗 薄白苔 舌下静脈(-) 血熱と考え清熱涼血 活血通絡を目的に治療しました。
治療経過 2診目 治療後の2日間は蕁麻疹(-)昨日風邪をひき夕方から全身に蕁麻疹
3診目 治療後の2日間は蕁麻疹(-)頭痛薬1日服用

4診目 夕方から外側赤く内側白い膨隆した大き目の蕁麻疹でる 子供を寝かしつけて一息ついた頃に引いていることもある。
    手掌赤く熱こもる 清熱解毒のツボから刺絡(血を抜く) 今日頭痛薬服用

5診目 前回治療の後すぐ蕁麻疹引き数日調子よかった。月経直前、1日目蕁麻疹酷くなるも、今までの月経の時より蕁麻疹の程度が軽かった。
    以後刺絡を毎回の治療に加える。

8診目 月経前だが調子よい 大きい蕁麻疹が減る。手足は少ない

9・10診目 月経初日、中は寝不足もあり蕁麻疹酷かった。右の顎関節症があり、側頚部の張りが強い。夜中のくいしばりが朝のこめかみ痛と関連している可能性もあるのでマウスピースを作ってもらうように指導

14診目 マウスピースをはめるようになり、朝の顎関節痛減る。

17診目 雨天前頭痛酷くなるが、頭痛の頻度が減ってきた。月経初日2日目は少し蕁麻疹出たが、いつもより少ない。月経前は蕁麻疹(-)

20診目 子供の運動会があった頃から10日間ほど蕁麻疹が続いている

22診目 調子よい 夕方からも出ていなく、月経前・中も蕁麻疹(-)

その後風邪で発熱したり、発汗すると蕁麻疹が出ていましたが、調子の良い日が続き、治療始めて9か月頃には発汗しても蕁麻疹がでなくなり10か月頃には抗アレルギー剤の服用を中止しても大丈夫になりました。
その頃から週1回の治療を2週間に1回にして様子をみていき治療し始めて1年後には毎日頭痛で薬を飲んでいた状態から雨天日に痛くなるぐらいになってきた。
蕁麻疹は殆どでなくなり時々部分的に出ることもあるが、少しポツポツぐらいでひいていくようになりました。

コメント 3児の母で自営業ということもあり、毎日時間に追われて忙しいのに加え、薬を毎日服用することで薬毒が血熱を生じ、皮膚を阻滞することで蕁麻疹が発生したと考えました。
途中から刺絡の治療を加えましたが、蕁麻疹が酷い時ほど暗紅色のドロドロした粘調度の高い血液が多量に排出され、症状が良くなるにつれ鮮紅色のサラッとした血液が少量排出するように変化してきました。
血熱お血が取れてきた証拠です。この患者さんは第1子出産後から蕁麻疹がでだし、第2子妊娠中は蕁麻疹が引き、また出産後に蕁麻疹がでるという慢性の蕁麻疹を患っていましたが、今回1年かけてしっかり治療したことで、終息しました。原因不明の蕁麻疹でも東洋医学的に弁証して治療していくことで体質改善し根本から治せます。鍼を信じて長期来院して下さった患者さんに感謝します。

小児の周期性嘔吐

平成28年7月中旬 1歳2か月女児のケース

症状 ≪既往歴≫水腎症による尿路感染で4回入院治療
生後からミルク 6か月から離乳食始めるが1~2さじぐらいしか食べない。ミルクは経管栄養で鼻からとる。180ml×5回/日。6月から1週間おきに嘔吐が続く。元々ゲップが苦手で時々吐いたり、えずくことあったが原因はわからない。
1日目ミルクの後2回に1回ぐらいの割合で吐く。2日目ミルク後毎回吐く。3日目胃に何も入ってないのにえずく。4日目食べれない、眠れない状態になりぐったりして入院。この状態になると痙攣しながらえずくのでお母さんも一睡もできない状態になる。
病院の検査では器質的な問題ないので、周期性嘔吐が疑われると説明される。6月2日入院。点滴するとケロッと元気になる。腎臓の検査入院の時期と重なり6月22日退院。その間にも1回同じような嘔吐周期があった。
帰宅して1週間ぐらいするとまた嘔吐周期がやってきて7月7日から1週間入院。
治療経過 小児鍼で治療。とても皮膚が薄く、やわらかい。横隔膜の場所にあたる膈兪あたりの緊張、右の脾兪胃兪あたりに冷えがみられる。軽刺激で治療。
連日又は隔日で治療。
2診目 いつもだと今週末から嘔吐始まる。排便1日1回から1日4回に増える。形状は同じ。
同治療後右脾兪胃兪あたりの冷え改善。
3診目 今の所嘔吐大丈夫。一昨日予防接種で昨日発熱。今日下がる。同部位の冷えあり。治療後発汗。

4診目 昨日からミルクを入れると吐く。吐けば元気になる。同部位の冷えなし。太白(胃腸のツボ)に古代鍼の金鍼(補う目的)

5診目 ミルクの後、寝起きの後空えずき。少量づつミルクあげている。毎回は吐かない。気持ち悪いのか機嫌悪い。夜眠れる。3回排便。同治療後機嫌よくなる。

6診目 ミルクを小分けにしてゆっくり入れている。機嫌悪い時間多い。いつもならミルクを入れられなくなるが、今回はまだ少しづつでも入れられるのでいい。膈兪緊張、脾兪胃兪あたりの虚。同治療後発汗。

7診目 朝100mlミルクあげ吐く。以後30mlづつあげる。吐かないがえずく。夜は眠れる。小児鍼してから脾兪(虚)の部位へ金鍼をあてる。

8診目 寝る前100mlミルク上げて吐かなかった。あげるとえずくがミルクはとれていて眠れる。脾兪胃兪の冷え治療後温まる。

9診目 ピークを越えた感じがする。寝る時200mlあげても大丈夫。日中も100mlあげても吐かない。えずきも酷くない。元気、眠れる。膈兪の緊張(-)脾兪の虚↓

明日から実家へ1週間帰省
10日後に来院 実家でも100mlづつあげてトータル700ml えずくが眠れ機嫌もいい。

週1回の治療
11診目 トータル1000ml飲めている。検診で体重1キロ近く増えていた。嘔吐が始まってから体重減っては戻りの繰り返しだったので嬉しい。だいぶ活発に動くようになってきた。

14診目 調子よい

コメント 原因不明の嘔吐でしたが、体表には赤ちゃんなりの反応が表れていました。
とても繊細な皮膚なので、刺激量に気を付け、虚の反応(くぼんで冷えている)を示す場所に金鍼で補いました。
動画で吐いている映像を見せてもらいましたが痙攣しながらえずく様子は本当にかわいそうで、親だったら心配で一睡もできないのはよく分かります。
小児鍼を始めて吐いたりえずくことはあっても眠れ、一応ミルクはとれるので脱水にはならず全身状態は良好でした。
いつもお顔を見せてくれるとニコニコと元気よく、顔色も良かったです。
体重も増え、活動量も増えたという副次効果もありました。
鍼を信じて通って下さったお母様に感謝します。
最近は難病治療に鍼灸治療が効果的であるという症例も数々紹介され、
西洋医学では原因が分からず、対症療法しか無かった今回の症例も鍼灸治療の可能性を感じる一例でした。

2人目不妊

平成27年6月 39歳女性

症状 2008年12月から当院で月1~2回鍼灸治療しながら婦人科でタイミング、人工授精の治療を受ける。
2010年12月初めての体外受精で妊娠。2011年9月第1子出産。
2013年6月に第2子希望し体外受精するが判定は陰性。
2015年6月当院受診。
2013年6月の体外受精以降9回誘発しているが、2度採卵出来ただけだった。
2度採取できた卵子も受精はするものの途中で成長が止まり移殖には至らず。
BBTは低温期長め高温期やや短め(10日)の28日周期
風邪をひきやすい。仕事のストレスで半年ほど下痢が続きここ2~3か月は便秘。仕事がハードになり体がきつい。運動していない。
甘い飲料水を一日に数杯飲む。脈浮弦虚 尺脈(腎の気をみる)弱い 暗淡白舌 微黄白膩苔
治療経過 腎精不足があり、かつ湿痰という邪が体に停滞して邪魔をしていると考え、湿痰を取り除き腎を強化する治療を行いました。3周期後に再び体外受精をする予定なのでそれまでに体を整えたいとのこと。
3診目 運動するようにし、甘い飲み物を控え1、5㎏減る。月経前に2~3日茶色おりものあるが今回はなし。ルトラール服用の為高温期のまま月経になる

4~7診目 軟便下痢傾向 整腸を意識して治療

8・9診目 月経前の体のだるさあり。次回の体外受精の事を考えすぎる

10診目 誘発剤 クロミッドとプレマリン。この頃尺脈の力が少し出てくる

11診目(9月) 1つ採卵でき、2年ぶりに今日4分割の胚を移殖できた。フラグメントもなくとても綺麗な受精卵だった

13診目 陽性判定 いつも月経前体だるいが今回はない

15診目 9週心拍確認  動悸 易疲労 昼寝しないと夕方動けない
心脾両虚として治療
16診目 順調に大きくなっている。動悸あるが先週より楽。疲労感も↓↓

17診目 12週 胎児ドッグ問題なし 動悸は治まってきた。夕方疲れやすい

コメント 今周期の月経は3か月前から準備されている卵胞の一つが主席卵胞として発育し排卵しておこると言われています。いくら誘発剤を使っても、自分の体がいい状態でないと卵胞は育つが質が悪かったり、変性卵ということもよくあります。
体外受精をする場合、個人の妊娠能力+胚培養技術+医師の技量が大切だと考えます。
個人の妊娠能力というのは、もちろん年齢も大きいですが、今回のように体外に向け
食事を見直し、運動をとりいれ、鍼灸治療で補腎(アイチエイジング)と活血(血流改善)をし自宅でセルフ灸をしてもらうことで卵の質の改善に繋がり妊娠能力が高まったのではないかと思います。
6月2日無事3590gの元気な女児を出産されました。

2人目不妊

平成27年5月 34歳女性

症状 初潮の頃から月経不順。結婚後すぐに不妊治療始める。多嚢胞性卵巣症候群・抗精子抗体陽性。
タイミング、人工授精から体外へステップアップし3回目の胚盤胞移殖で妊娠。
平成24年11月に第1子出産。2人目を希望し平成27年2月と4月に胚盤胞移殖したが着床しなかった。今回は2日目胚を戻す予定。移殖の時エストラーナテープを貼るが子宮内膜が中々厚くならずいつも28日目ぐらいでやっと移殖出来る。
治療経過 元々腎虚(生殖器系の弱り)があるところに、肝鬱気滞もからんでいると考え滋陰養血・疎肝理気を目的に治療しました。

2診目 内膜順調に厚くなっている(6㎜)
3日後の受診で8㎜になれば排卵させる薬を打ち、2日後に移殖する予定
3診目 子宮内膜8㎜以上になっている。こんなに早く内膜が厚くなったのは初めて
4診目 移殖の直前に来院してもらい治療(19日目)
6診目 内膜12㎜
8診目 陽性判定 5週0日
8週~12週頃まで出血・腹痛あり。検診で前置胎盤なので出血しやすいとのこと。子宮が大きくなり胎盤が移動して子宮口から2センチ離れれば普通に分娩できる。
腎気を強くして、不正出血を止める治療を続ける。15週には出血止まり、17週エコーで前置胎盤もよくなり、経膣分娩出来るとのこと。
その後も体調管理で週1回治療を続けました。
平成28年1月28日2800グラムの女の子を無事出産されました。

コメント 今回の治療で鍼灸治療が子宮内膜に良い影響を与え、子宮環境が着床しやすい状態に整ったため妊娠に繋がったのではないかと考察します。

皮膚(特に両頬)の発赤・乾燥・荒れ

平成26年4月 43歳女性のケース

症状 小学生低学年から高校生まで膝裏・肘・首に発赤、搔痒、掻き毟りによる出血があった。
高校生・大学生の頃は食べ物や化粧品に反応して皮剥けや痒みあり。
23歳ころから、精神的緊張や肩こりで頭痛がおこるようになる。
32歳頃大きなストレスがあり、肌荒れ悪化。その頃から肌荒れ酷くなる。38歳心配事があり半年以上頭痛続く。
最近は乾燥してヒリヒリ、皮剥け酷いので化粧はなるべくせず、ぬるま湯で洗って、保湿のみしている。皮膚の事に気を使いすぎて疲れる。増悪因子;春・月経中・精神的緊張・パソコン作業・冬の寒風
緩解因子;月経後・散歩後細かい性格で小さいことが気になり、一人で頭の中を堂々巡りしている。
元々の性格や、自然界の気が上昇する春に悪化すること、ストレスにより悪化する事などから肝鬱気滞による化火で両頬に発赤・皮剥けがおこると考え治療。
治療経過 週1回の少数鍼による治療の経過
3診目 赤みが落ち着く。4診目 前回から10日空いたが、化粧した日に皮剥け2回ほど。細かい皮剥けはちょくちょくある。5診目 人ごみで頬真っ赤になった日があり。化粧したが、悪化せず。6診目 頬の赤み・皮剥け減少。8診目 赤み気にならない。入浴後いつも真っ赤だったのがなくなる。ざらつきはある。11診目 連日化粧すると乾燥感あり。皮剥けはなくなる。
13診目 調子よい。化粧してもざらつきない。以前は風があたったり、汗や自分の髪が触れただけでピリピリしていたが、今はない。

16診目 連日化粧しても、大丈夫になる。肌の負担感じない。

コメント 春に悪化しないよう、現在も治療に通われていますが、頬の赤み、乾燥はなくなり、連日化粧を長時間しても気にならなくなり、だいぶ楽になられたようです。
夏の暑さが今年は楽だったり、イライラしなくなったり、頭痛も頻度がだいぶ減り、寝込むほどの痛みはなく、軽くなったようです。このような副効果が得られたのも、気の上昇を引き下げる治療を続けたおかげだと思います。

全身痒み

平成26年6月初旬 38歳女性のケース

症状 1月に断乳してから夜目覚めると中々寝付けなかった。
3月に月経再開。娘の初節句でご主人のご両親が家に数日泊り、大変だった。
4月中旬から5月初旬まで風邪。
5月初旬に腕が痒くなる。翌日から月経と同時に痒みが酷くなり、足や胸、お腹も痒み広がる。月経中、顔・ひざ裏・腕がむくみ、痒みが出た頃から便秘。月経量多く、周期短め月経痛強い。
月経前のイライラ激しく、低温期より高温期になってからの方が痒み強い。
夜中10時から2時頃が痒み強く目が覚め、眠れない。脈沈数  淡白舌・白苔・舌先紅刺
治療経過 寝不足・月経再開で体を滋養出来ず、ストレスが加わることで内熱が生じ、さらに風邪をひいて、内風が起こり痒みを発症したと考える。
夜中や、月経の高温期に痒みが酷いことから実証である血熱による痒みと考え、清熱涼血の治療をする。
2診目 前回の治療後むくみ減り、毎日便通あり。痒み不変。
3診目 首回りとお腹の痒み減る。
4診目 上記の部位痒みだいぶ減り、腕も少しひく。
5診目 前回治療後夕方まで調子よかった。
8診目 夜の痒み減る。
10診目 冷やせば、夜眠れるようになる。
12診目 冷やさなくても眠れるようになる。
13診目 終日痒みなし。
コメント 治療間隔は最初の2週間は週3ペースで、3.4週間目は週2その後週1で来院されました。
熱心に治療に通われたことと、少数鍼で的を絞った治療のおかげで早期に主訴が緩快し、患者様も大変喜ばれた症例です。

2人目不妊

平成24年1月 41歳女性のケース

症状 平成20年第1子自然妊娠にて普通分娩
平成23年自然妊娠したが、9週で稽流流産。
翌月は不正出血が続き、翌々月から月経周期が短くなる(28~30日→23~24日周期)
尺脈(泌尿・生殖器を司る腎の状態が表れる)がすごく弱くあまり触れない。
舌診 淡紅舌・瘀斑・舌下静脈怒張
治療経過 腎虚・瘀血と証をたて、補腎をしながら瘀血をながす治療を続ける。
治療の間、婦人科ではクロミッド、ルトラール処方される周期もあれば、HCGを打つ周期もある。
半年後妊娠判定でるが、化学流産。その後も治療を続け、服薬しない周期でも高温期が安定し周期が整いだした頃(5ヶ月後)
服薬しなかった周期で自然妊娠。
平成25年10月3600gの 元気な男の子を無事出産されました。
コメント 不妊治療されている患者さんで、2人目がなかなか出来ないという方も多いと思います。
今回の症例では、一般的には妊孕率が下がり、流産率が上がると言われている40代の患者
さんが、体調を整えることで妊娠できる土台が作られ、自然に妊娠し無事出産されましたので、ここに報告させてもらいます。鍼灸治療を継続することで、母体の妊娠力が上がるサポートが出来るのではないかと思います。

妊娠中の副鼻腔炎による鼻炎症状

35歳女性のケース

症状 毎年春花粉症でクシャミ・鼻水・目の痒み・咳がでる。
今年も1月から花粉症の治療を行い、症状はおさえられていたが2月に妊娠が判明し3月ごろからつわりが出だす。
4月に貧血の為鉄剤を服用し更に気持ち悪さが増強し、そこへ息子の風邪を感受して副鼻腔炎を併発する。眉間の間が熱く重い・頭重・鼻づまりで眠りが浅い・鼻水が喉におりて咳・黄緑色の鼻水
脈:浮滑数 淡紅舌薄苔・舌先紅点 顔面診:目鼻のライン紅
治療経過 肺経鬱熱の鼻塞として疏風清熱・排膿通きょうの治療2日おきに4回治療し、上記症状(-)
コメント この患者さんは元来、気血両虚の体質であったが、つわり・鉄剤の服用で脾胃を傷め、そこへ風熱邪を感受したことにより、肺経(東洋医学では呼吸器系全般を包括している)に熱がこもり、肺の粛降機能が阻害され副鼻腔炎になってしまいました。
体は寒がり、手足は冷えているが首から上だけに熱が傾き上下のバランスが崩れていました。元来の脾胃の弱りをフォローアップし、こもった熱をとっていく事で抗生剤を使わずに比較的短期間で治癒にいたったケースです。毎回治療後は鼻が通り、頭痛がとれ治療を重ねるごとに軽快していきました。
妊娠中は薬が使えないので、このような急性症状にも安全に対処できる鍼灸治療は、出産までの体調のケアや安産目的として真価を発揮すると思われる症例でした。