症例

TOP > 症例

イメージ

鍼灸治療が初めての方は、自分の症状はどれぐらいの頻度で、どの位の期間通えばいいのか知りたいと思います。
その方により体質、病歴、病の程度が違いますので、実際に診察してみないと何とも言えませんが、一般的には病にかかった期間が長かったり、病状が重ければそれだけ治療期間もかかり、病状が軽かったり、病に罹ってから日が浅ければ、治療期間は短くなります。

通院頻度としては、1回目の治療作用が消えないうちに2回目の治療をしたほうが効果が高まりますので、最初のうちは週に2~3回、症状が緩和してきたら週1回、10日に1回というように間隔をあけていくのをお勧めします。

長期にわたる疾患の場合、数回治療しないと変化が表れないことがありますが、その間に一番つらい症状だけでなく、その他の気になる症状が緩和されるなど、何らかの良い効果が期待でき、体が快方へ向かっているのを感じられると思います。

鍼灸治療を継続するなかで、もし不安な事や、心配事、疑問がありましたら、いつでもお気軽にお話ください。
多くの症例のうち一部を載せましたが、例え同じ病名でもその方の症状の程度や生活環境、食生活、仕事の状況などにより、治り方や治るまでの時間が違いますので、それをご理解のうえ、参考にしていただければ幸いです。

妊娠初期の絨毛膜化血腫による不正出血・下腹部痛

症状・経過 2019年9月から不妊治療で来院されていた患者様。
2020年1月にタイミング+人工授精をし、月経予定日から少量の鮮紅色出血が2~3日あり、その後茶色のおりものが続いていました。

月経予定日から1週間後に自分で尿検査をし陽性確認。ちょうどその日に治療に来られたので不正出血をとめる治療をしました。

翌日からピタッと不正出血がなくなったとのこと。数日後に病院受診し、胎嚢確認できました。ただ胎嚢のそばに大き目の絨毛膜化血腫があると診断されました。

※絨毛膜化血腫とは胎盤を作るときに何らかの理由でうまく作れず、子宮内に血腫ができることです。代表的な臨床症状は性器出血と子宮収縮。感染症や流産のリスクが高まります。妊娠初期に自然消失することも多いですが、中期まで持続すると絨毛膜化羊膜炎、胎盤早期剥離、羊水過少、胎児発育不全に至ることもあります。

1週間後の受診で心拍確認されました。不妊専門の病院から産院へ転院しエコーでみてもらうと絨毛膜化血腫は消失していたようです。

そのころから日に4~5回10分ほど下腹部がキューとしたりドーンとした痛みあり。横になって休んでも治らない。便秘があったが水分を多めにとるようにして最近は排便あり。
子宮痙攣をとめる治療をしました。1週間後に来院してもらうと前回の治療直後から下腹部痛がなくなったとのこと。とても喜んでおられると同時に鍼灸の即効性にとても驚かれていました。

現在9週になり、順調に大きくなっています。このまま順調に出産までもっていけるよう引き続き経過を見守っていきたいと思います。


帯状疱疹

2020年2月中旬 51歳女性のケース

症状 定期的にケアで来院されている患者様。
1月義理のお母さんの介護で過度のストレスがかかっていた。1週間前から左脇ピリピリ、つるような感じ。
衣服が触れても痛む。昨日水ぶくれができたのでクリニック受診。1週間分の薬と塗り薬を処方される。
以前帯状疱疹の予防接種をうけていたおかげか水ぶくれは少ない。
治療経過 元々胃腸虚弱で内湿があるところへ過度のストレスがかかり肝鬱気滞→化火→肝の裏の胆経へ湿熱波及

1週間後に来院 週半ばに痛みのピークがあり鎮痛剤を1日2回服用 水泡はあまり増えなかった。

1週間後に来院 治療翌日から痛み徐々に治まり鎮痛剤は服用していない。ここ数日は痛みなし。
水泡も痂皮化しつつある

コメント 帯状疱疹は水痘の既往のある人体にウイルスがひそんでいて過労、老化、病気で免疫力が弱った時に発病します。

末梢神経痛(皮膚にチクチク痛みがあったり、違和感がある)が先におこり2~3日後に水泡が出てきます。水泡が出ると痒みを伴った痛みを生じます。
水泡は1週間ぐらいで膿疱化し10日ぐらいで結痂し治ります。ひどい場合水泡が化膿して治るまでに1か月以上かかることもあります。

この患者さんは予防接種を受けていたこともあり水泡は軽微でしたが、重いものは皮膚が暗紫色になり汚い瘢痕を残し後々まで激しい神経痛に悩ませれることもあります。

鎮痛剤や抗ウイルス剤が急性期に用いられますが、鍼灸治療を早期に受けると後々まで神経痛が残らず綺麗に治ります。
皮膚の膿疱が治まるまで待たずに早期に鍼灸治療をされることをお勧めします。
また残ってしまった神経痛にも鍼灸治療は効果的ですのでご相談ください。


夜尿症

7歳女の子 初診2020年1月

症状 週3~4回 パンツに張るシートにおさまるぐらいの量 夜中1回分

日中頻尿の時がある。入浴前におしっこをしてまた入浴中にもしたくなる時がある。

寒がり。スイミングに通い始めたころ1時間のうちに3~4回おしっこ。最近は始まる前に1回、レッスン最中に1回

学校ではお昼休みに1回のみ 夕食から寝る前の間の水分量に関係なく夜尿ある日とない日ある

治療経過 週2回 小児鍼で治療

3診目 まで3日に1回夜尿

6診目 1週間夜尿なし おねしょシートをはずす。最近お風呂前におしっこにいけば入浴中はおしっこなくなる

7診目 10日間夜尿なし

8診目 11日目に夜尿あったがおねしょズボンにおさまるぐらい

コメント  現在も治療中です。1週間以上成功したことで本人が自信をもてるようになったことが良かったと思います。

失敗するときもあるけれど、治療を続けることでだんだん減っていくと思います。

今回の症例は早めに効果が表れましたが、夜尿治療は長期戦になることが多いです。気長に治療されることをお勧めします。


耳管開放症

37歳女性 初診2019年7月末 

症状 3か月前から特に原因もなく左耳が聞こえづらい日があった。1週間前から毎日1日中何かが被さっているようで聞こえ辛い。自分の声が響く。入浴すると治ることがある。
4年前の妊娠中も左耳の浮腫み・聞こえづらさがあった。その時は漢方を服用して治る。

随伴症状;足の浮腫み 仕事で長時間立っているためふくらはぎを擦るだけで痛い。
寝る時に着圧靴下を履かないとだるくて目覚める。雨天・雨天前悪化 入浴で緩解
胃腸症状あり 小便の回数が少ない おりものが多い 顔がほてる・のぼせる

淡紅舌 舌根部白膩苔 短脈で虚 

飲食不摂から胃腸機能が低下し湿痰が発生、その湿痰が耳塞いだと考え化痰利湿を目的に治療しました。

治療経過 1診目 治療後脈力がでて舌苔が減る
3診目 夕方に耳がポーンとすることがあるが、耳閉感10→2ぐらいに減る
    月経前足の浮腫み酷い
4診目 1日5回ぐらい 30分前後耳がふさがる  

5診目 週1回 30分前後ふさがる

6診目 時々耳閉感あるも気にならない程度だった。先週風邪をひき耳閉感が1日中続くようになる
    足の浮腫みは月経前も気にならなかった。淡紅舌薄白苔
7診目~10診目 調子の良い時と塞がる時と半々ぐらい 足の浮腫みは気にならなくなる

11診目 少し耳閉感あるがだいぶよくなる

12診目 2週間の間に1回あったぐらい

コメント 風邪をひき途中で悪化してしまいましたが、治療している間に白膩苔が薄白苔に変化し、足の浮腫みも改善していることから体に留まっていたいた湿痰がとれていったことがわかります。
加えて第2頸椎の歪みもあり、左首肩にかけ緊張が強かったので緊張を緩めて耳への血流を改善したこと、姿勢を指導させてさせてもらい患者様自身も気を付けてくださったことで治療効果が上がったのだと思います。 

無月経 二人目不妊

2018年12月初診 32歳女性

症状 高校生の頃から月経不順だった。2015年11月結婚 月経不順の為2016年3月婦人科受診 クロミッド+タイミング療法
2016年10月他院にて鍼灸治療始める。
10月中旬妊娠 2017年7月出産 2018年8月断乳 
11月婦人科にてホルモン量最低限しかないと言われる 内診でまだ月経はこなさそうなので当帰芍薬散を処方される 12月初旬おりもの増えその後ピンク色の出血1日あり。
遅渋脈 淡紅舌薄白苔やや滑苔 足の冷えがきつい 上熱下寒 衝任虚寒 寒湿内停として
養血温経 補養散寒を目的に週1回治療 補助療法として毎日自宅でのお灸をしてもらいました。
治療経過 4診目後の1月中旬に月経がくる 高温期9日間
2月下旬月経がくる 基礎体温バラつきがある
3月下旬月経 今回排卵期におりものが増え、高温期も15日間続く
1か月治療中断したが、5月初旬に月経が来る
6月初旬月経 
今周期から妊活を始める 排卵期におりものが増え、良い時期にタイミングがとれ綺麗に高温期に移行
高温期が長いので自己検査したら陽性反応。婦人科で胎嚢確認
コメント この患者様は断乳後も月経が再来せず体の不調があちこちにありました。
治療をするうちにあちこちにあった不調が緩解し、月経もほぼ毎月来るようになりました。
体調が整ったことで、赤ちゃんを迎える準備ができ子作りを意識しだしてすぐの妊娠でした。
現在も順調に経過中です。

小児チック(運動チック 首ふり 肩をビクンとさせる)

初診2018年9月下旬 7歳男の子

症状 年中の頃咳払い(音声チック)するようになるがすぐ治る
2018年小2になってから咳払い少しあったが気にならなかった
7月中旬口をくちゃくちゃ動かすのが続く
夏休みに入ってからウンッウンッ(音声チック)が頻繁になる
夏休み終わり頃から首ふり肩ビクンとするようになる
現在(9月入って)音声が気にならなくなり、運動が強くなる
小児科で漢方薬(抑肝散)処方してもらい1か月飲んでいるが不変
運動中や寝ている時(-)食事中、静かになった時、勉強中や集中している時(+)
学校では友人関係良好 特に原因になるような環境の変化なし 
性格は落ち着きない フレンドリーで人見知りしない 積極的 マイペース 動く(走る)のが好き

眉間に青い筋 舌先紅 背部筋緊張強く肝兪から胃兪まで膨隆 腹部筋緊張強い。

治療経過 週2回治療
初診 小児鍼5分 治療中肩を常にビクンとビクつかせている
2診目 症状不変
3診目 背部筋緊張↓↓ 治療中ビクつきなし 
お母さん曰く、昨日ぐらいから大きいビクンとした動きが減ったきがする
4診目 前回治療後チックの間隔があき、翌日からぐっと減る。昨日はほとんど症状でなかった
5診目 舌先紅↓ 昨日少し症状あったが、以前ほど頻繁でなくビクつきも大きくない

週1回治療
6診目~8診目症状なし 参観日 学校でも症状出ていなかった

2週間に1回 
9診目 1週間後学校で劇がある 2日前から大きく息を吸い吐く 
    肩背部緊張あり 治療後は緩む
10診目 大きく息を吸い吐く(-)チックの症状なし

コメント 話かけると色々お話をしてくれる素直な男の子でした。
初診時チック症状が酷かったので少し時間がかかるかなと思いましたが、2回治療したところでだいぶ緊張がとれ症状がどんどん良くなっていきました。
チックははっきりとした原因はまだ解明されていませんが、諸説の1つに脳の神経伝達がうまくいっていないことがあるのではないかと言われています。
子供の脳はまだ未熟でこれからどんどん成長するので大人になると殆どが良くなると言われています。
1番近くにいるお母さんはとても心配だと思います。お母さんの心配は何となく子供にも伝わるのでしっかりと説明させて頂き、
お母さんとのコミュニケーションもしっかりとれたのが良かったのではないかと感じました。
≪追記≫ 2022年6月
10診目以降週1回治療
唇をプッと鳴らす、咳払いする、発語の最初がやたら大きい声になる、まばたきなど、様々な症状がでたり無くなったりと波がありました。
症状が落ち着いているときは2週間間隔をあけ、症状が出ているときは週に1回治療させてもらいました。
2020年小4になる頃には症状が落ち着いている日が増え、2021年小5になる頃にはだいぶ落ち着いてきたので月1回の治療にしました。
このころは何か症状が出ても時々であったり、1~2週間で自然と症状がなくなるという状態でした。
2022年には2か月に1回の治療になり、ほぼ症状が出なくなったので小5になった頃に一旦治療を終了して様子をみてもらうことになりました。
多くのチック症状のお子さんを治療させてもらいましたが、チックは数回治療して治るということはないので(鍼治療で症状は落ち着きます)、周り(特に一番の理解者であるお母さん)が指摘せず優しい目で見守ってもらい、治療に通っていただきながら成長を待つということが大事なのではないかと思います。

更年期障害による多汗

初診2018年8月下旬 52歳女性

症状 2015年(48歳)徐々に汗とイライラが気になり産婦人科受診しピル処方される。主訴(-)
2017年(50歳)ホルモン補充療法にきりかえる。主訴(-)1年継続するが9月に中止、そのとたんに汗出るようになる。
12月1月の寒い日でも急に体熱くなり全部服を脱いで窓を開けることが頻繁に起こる。
2月3月漢方・サプリ服用中は症状なし。4月春になり再び汗酷くなる。漢方・サプリを飲んでも不変。
日中3~5回/日 夜1回急に頭頚背部中心に熱くなり発汗。最近毎日寝汗で目が覚める。扇風機をあて眠れる日もあるが
眠れない日もよくある。眠れないと朝から疲労感。

加齢に伴い腎虚がすすみ、肝腎陰虚・内熱・上実下虚によりホットフラッュがおきていると考えました。
滋陰降火を目的に治療しました。週1回治療

治療経過 2診目多汗不変 腰部すべり症があり腰痛が酷い為、その治療も加える。
3診目 腰は少し楽になる。多汗不変。衝脈を意識し治療穴をかえて治療。

4診目 汗の回数少し減り、夜中の発汗量も少し減る。腰も以前より良い。

5診目 夜中の発汗量減る。日中の発汗回数減る。

6診目 夜中発汗しない日あり。

7診目 時々夜中発汗するが、じわっぐらいで以前のような大量発汗しない。日中は1~2回または発汗しない日もあり。

コメント 3診目に治療を再検討し、衝脈の気の上逆に対し主穴(1番基本となる穴)をかえ治療したのが効をそうし、順調によくなっていきました。
産婦人科でも更年期症状が酷く、日常生活に支障をきたすと更年期障害として治療の対象になります。
今回ホルモン補充療法を中止し、主訴が再燃するも鍼灸治療で緩解することができた1症例でした。

更年期障害 (不安感・恐怖感・意欲の低下)

初診2017年4月19日 54歳女性

症状 2016年1月仕事中意味なく不安になる 胸のザワザワ 自宅では急に怖くなり襲われる感じ
加味逍遥散でおさまる 恐怖感はなくなるが不安感は残る
2016年2月閉経

2016年5月仕事辞め、他院にて鍼灸治療を受ける(5月~10月) 徐々に良くなり不安感・動悸はあるものの春には良くなるだろうと明るい展望が出来るようになる
友人とランチしたり外出もできた

2017年1月の寒い日、冷えと疲れから今までに感じたことのない不安感・動悸・不眠・食不振が2~3週間続いた
友人とランチ中不安でどうしようもなくなり帰る 以後友人の誘いは断っており会っていない

2017年2月心療内科で加味帰脾湯 桂枝加竜骨牡蠣湯 六君子湯を処方され2週間で不安感が落ち着いてくる

現在の状況 今まで難なくできたことに対して不安になる その不安も何ものかわからないので怖くなる
働きたいが意欲がわかない イライラもある

治療経過 閉経期におこる急激なホルモン変化による更年期障害ですが、東洋医学的に心脾両虚、肝鬱血虚と症をた益気補血 健脾養心 疎肝理気 補腎益精を目的に治療をしました
治療後は弦脈がゆるみ、手掌のほてりと足の冷えがとれました。自宅でもお灸をしてもらうように指導させてもらいました
最初2週間は週2でその後は週1で治療

最初1か月は胸のザワザワあったり調子のいい日があったりでしたが、1か月を過ぎるころから胸のザワザワが気にならなくなり日帰りですが遠出もできるようになる

5月の終わりには友人と夜外食もできるようになり不安感をあまり感じなくなる

元々梅雨の時期は体調が悪いのですが、6月梅雨に入り不安感が強くなったり、やる気が出なかったり、体のだるさがあり、友人と食事に行くのが不安になる
補腎を強化すると8月ごろには又調子がよくなり胸のザワザワ不安感はほとんんどなる 泊りで旅行に行けたり、友人とも不安なく食事にいける

9月に施術者が産休にはいり治療は一旦休止しましたが、2018年7月現在仕事も週2回行けるようになり、不安感もなく過ごされています。
体表観察としてツボの状態をみるのですが、初診当初は腎と脾と心のツボの虚が激しく、ベコベコで全く力がない状態でした

治療をするうちにそのツボの状態が良くなり、張りが出てくるのと並行して体調も改善していき、今では体つきもふっくらし顔色もよくなりました

コメント この方はベースが脾の弱りなので胃腸の働きを強化するように毎回治療し、その日の訴えに応じて疎肝を意識したり補腎をして治療していきました
閉経前後5年ずつを更年期と呼びます

45歳から55歳頃に更年期を迎える方が多いですが、この時期に検査では特に異常ががないけれど、身体的症状や精神的症状(ホットフラッシュ・めまい・頭痛・全身倦怠感・不眠・憂鬱・不安・やる気のなさ・落ち込み)を呈するものを更年期症状と言い、それが酷くなり日常生活に支障をきたす状態を更年期障害と言います

西洋医学では急激な女性ホルモン低下をホルモン補充療法で治療するのですが、ホルモン補充が出来ない方、副作用が気になる方は東洋医学(漢方・鍼灸)での治療を希望される方も多いです

鍼灸治療は自律神経やホルモンバランスを整える、リラクゼーション効果、血流改善を期待できます

今回の症例は更年期に自身の環境の変化や疲れをきっかけに精神症状を発症したケースです

東洋医学的に今の体の状態や発症機序をご説明したり、治療後の体の変化(脈や舌、ツボの状態の改善)をお伝えすることでご本人も納得されたり安心された様子でした
コミュニケーションがうまく取れ治療が奏効した一例でした


酒さ(頬の赤み、ほてり、ブツブツ) 

初診2017年3月初旬 31歳女性

症状 頬の赤み・ほてり・ブツブツ(丘疹) 首の赤み・痒み
2014年11月 第1子出産
2015年9月 月経再来 その頃から頬にニキビに似たブツブツ(丘疹、膿疱)が出来る。
2015年11月 断乳
2015年12月 頬の赤み、痒み、ほてり酷くなる。
2016年1月 皮膚科1・2件目ステロイド(ロコイド)塗らないと再発
2016年3月 皮膚科3件目で酒さと診断され、抗生剤服用して翌日から改善。服薬期間を徐々にあけ1か月半で中止。その後は漢方を飲み続け悪化はしていない。
2016年5月 ご主人の転勤で名古屋へ引っ越し漢方薬局で漢方処方してもらうが不変。

緩解 午前中 月経中 化粧水で冷やす
悪化 月経前(1週間前からブツブツ↑↑) 寒暖差の激しい場所を行き来する 13時~15時急に頬がほてる(ほてると足が冷えている)
 昼以降 入浴後 昼・夕食後 日光 夏 冬の寒風

上熱下寒 血熱による皮膚紅斑・ざ瘡 清熱解毒を目的に少数鍼で治療

浮渋数脈 眼けん結膜充血 淡紅舌薄白苔 舌先紅刺 足首から下は発汗してとても冷えている
左太衝 実・熱 左心兪~膈兪 実 左側腹部緊張

治療経過 週2ペースで治療
2診目 前回後2日間、午後からの急なほてりなし 頬の赤み(↓↓)ブツブツ(↓)首の赤み(-)浮滑数脈
 
3診目 前回から午後からの急なほてりなし 今少しほてりあり 頬の赤み(+) 滑数脈 舌先紅刺(↓) 治療後脈が遅くなる(熱が取れた証拠)
4診目 午後からの急なほてり軽い 赤み減ってきている

週1ペースで治療 
5診目 午後からの急なほてりだいぶ減るが、一昨日から鼻の周りにプツプツ 時々痒い 頬赤み(↓↓)

6診目 日に当たるとのぼせるが30分から1時間でひく、他(-)。 プツプツ(-) 舌先紅刺が減り、以前より脈が遅くなる
 
7診目 2日前に今までと違うメーカーの化粧水を使用したら顔が真っ赤になり、むくみ痒み まぶた(右<左)痒く腫れ 顔全体赤み(+) プツプツ(+)
    背部にある清熱解毒効果のあるツボから刺絡 治療後痒み落ち着き、脈も遅くなる

8診目 前回治療翌日には顔の赤み プツプツ 瞼の腫れがひく

コメント 8診目頃には足の冷えがマシになり、舌先の紅刺がほぼ目立たなくなり、脈も緩脈やや数となりました。
このことは症状の緩解と比例して身体所見も上に昇っていた熱症状がとれてきたことを表しています。
また刺絡をすることで、速やかに腫れ・赤みがひいたことも熱が取れたことを表しています。
抗生剤やステロイドを使わなくても、体質を改善すれば症状は緩解することが証明された一例でした。

慢性蕁麻疹

平成28年1月 36歳女性

症状 2014年11/1第三子出産 妊娠中授乳中は蕁麻疹なかったが、2015年11月卒乳したら全身に蕁麻疹がでだす。12月月経再開。
月経2~3日前からポツポツでだし、1日~3日目まで酷い。悪化要因 夕方以降 風邪をひく 寝不足 日光 雨天前、雨天 下着の当たる箇所 
赤く膨隆状に広がり、出だしが痒いが出てしまえば痒みなし
随伴症状 頭痛 毎日 起床時こめかみ辺りがジーンと重痛い 毎日頭痛薬服用 妊娠中は頭痛なし
血液検査ではアレルギーなし 第1子出産後から抗核抗体80倍(膠原病の疑い)
現在抗アレルギー剤3種類服用中 数日前から頭痛薬中止している 飲酒 週末ワイン2~3杯 睡眠6時間
脈沈数 淡紅舌やや暗 薄白苔 舌下静脈(-) 血熱と考え清熱涼血 活血通絡を目的に治療しました。
治療経過 2診目 治療後の2日間は蕁麻疹(-)昨日風邪をひき夕方から全身に蕁麻疹
3診目 治療後の2日間は蕁麻疹(-)頭痛薬1日服用

4診目 夕方から外側赤く内側白い膨隆した大き目の蕁麻疹でる 子供を寝かしつけて一息ついた頃に引いていることもある。
    手掌赤く熱こもる 清熱解毒のツボから刺絡(血を抜く) 今日頭痛薬服用

5診目 前回治療の後すぐ蕁麻疹引き数日調子よかった。月経直前、1日目蕁麻疹酷くなるも、今までの月経の時より蕁麻疹の程度が軽かった。
    以後刺絡を毎回の治療に加える。

8診目 月経前だが調子よい 大きい蕁麻疹が減る。手足は少ない

9・10診目 月経初日、中は寝不足もあり蕁麻疹酷かった。右の顎関節症があり、側頚部の張りが強い。夜中のくいしばりが朝のこめかみ痛と関連している可能性もあるのでマウスピースを作ってもらうように指導

14診目 マウスピースをはめるようになり、朝の顎関節痛減る。

17診目 雨天前頭痛酷くなるが、頭痛の頻度が減ってきた。月経初日2日目は少し蕁麻疹出たが、いつもより少ない。月経前は蕁麻疹(-)

20診目 子供の運動会があった頃から10日間ほど蕁麻疹が続いている

22診目 調子よい 夕方からも出ていなく、月経前・中も蕁麻疹(-)

その後風邪で発熱したり、発汗すると蕁麻疹が出ていましたが、調子の良い日が続き、治療始めて9か月頃には発汗しても蕁麻疹がでなくなり10か月頃には抗アレルギー剤の服用を中止しても大丈夫になりました。
その頃から週1回の治療を2週間に1回にして様子をみていき治療し始めて1年後には毎日頭痛で薬を飲んでいた状態から雨天日に痛くなるぐらいになってきた。
蕁麻疹は殆どでなくなり時々部分的に出ることもあるが、少しポツポツぐらいでひいていくようになりました。

コメント 3児の母で自営業ということもあり、毎日時間に追われて忙しいのに加え、薬を毎日服用することで薬毒が血熱を生じ、皮膚を阻滞することで蕁麻疹が発生したと考えました。
途中から刺絡の治療を加えましたが、蕁麻疹が酷い時ほど暗紅色のドロドロした粘調度の高い血液が多量に排出され、症状が良くなるにつれ鮮紅色のサラッとした血液が少量排出するように変化してきました。
血熱お血が取れてきた証拠です。この患者さんは第1子出産後から蕁麻疹がでだし、第2子妊娠中は蕁麻疹が引き、また出産後に蕁麻疹がでるという慢性の蕁麻疹を患っていましたが、今回1年かけてしっかり治療したことで、終息しました。原因不明の蕁麻疹でも東洋医学的に弁証して治療していくことで体質改善し根本から治せます。鍼を信じて長期来院して下さった患者さんに感謝します。