症例

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妊娠中にひいた風邪による長引く咳

2023年7月上旬 31歳女性のケース

症状 1か月前に子供がかぜをひき、それがうつる
最初の3日間は黄緑色の痰が多量に出てその後、咳が出だすようになる
病院で咳止め・吸入を処方してもらうが不変
この2週間咳き込んで眠れない 1時間ごとに目覚める トータル4時間ぐらいしか眠れていない
現在37週 愛知医大で精密検査したが何も悪くなく、ホルモンバランス・自律神経の乱れでしょうと言われる
計画分娩で9日後に入院予定だが、つらいので早めてもらおうか検討中
風邪をひいた頃出産の不安感や心配事があった
朝<夜 就寝中が特にひどい 夜考え事をするからかも

治療経過 風熱を感受→→妊娠中は元々陰血が不足気味(虚火発生)なのと心配事が重なり(肝鬱化火)→→肺津消耗→→肺の宣発粛降阻害→→咳

益腎補肺 宣肺止咳 じょ肝解鬱を目的に治療しました

治療中少し眠れ体や呼吸が楽になる 咳少し↓

2診目(4日後) だいぶ咳が減り楽になる 夜中トイレに起きるが咳で眠れないということはない
計画通り5日後に計画分娩のため入院する
  

コメント 出産への恐怖心・不安・心配が強かったのですが、初診でコミュニケーションがとれ、たくさんお話ししてくださったことや、上に上った気を引き下ろす治療が功を奏し、咳が激減しました
患者様もこの2週間は何だったのか、もっと早くこればよかったと喜んでくださいました
体力温存することで、大変な出産に向け体調を整えることが出来た1例です

陣痛促進

38歳女性 初診2020年6月

症状 現在39週0日 第1子切迫早産、逆子で帝王切開 
第2子は普通分娩予定 今回も切迫早産で自宅安静をしていたが37週超えても全く生まれる気配がない
42週を超えると帝王切開になるので何とか正期産で生みたいとのこと。
現在胎児は2900g~3000g 内診でグリグリされると出血・腹張あるがすぐ治まる
子宮口3センチ 子宮頚管1センチ
〈他症状〉軟便 長時間座って立つとき左内股に痛みがある
気血両虚とみたて補気益血を目的に治療 内股の痛みの治療も同時に行う

治療経過 2~3日おきに治療

2診目 1.5時間歩くと収縮痛あるがおさまってしまう。
    スクワットも日に3回10回ずつしているが全く張らない

3診目 以前より腹張多い 

4診目 頻繁に腹張あり 
    長座から立ち上がる時にあった内股の痛み緩和 
    予定日に産婦人科受診 子宮口3センチ 状態は良い

5診目 前駆陣痛以前より増えてきた

6診目 前回治療後陣痛10分おきから6分おきになったので
    病院へ行こうとしたら陣痛遠のいてしまう
    今は30分に1回陣痛あり
    治療した夜に破水したと連絡あり、翌日順調にお産が進み
    生まれましたとのご報告がありました

コメント  お母さんの絶対下から産むという強い気持ちが届き予定日からちょうど1週間後にはなりましたが無事生まれてきてくれました。
お産も順調に進み母子とも元気に出産を終えられ本当に嬉しいです。

妊娠初期の絨毛膜化血腫による不正出血・下腹部痛

症状・経過 2019年9月から不妊治療で来院されていた患者様。
2020年1月にタイミング+人工授精をし、月経予定日から少量の鮮紅色出血が2~3日あり、その後茶色のおりものが続いていました。

月経予定日から1週間後に自分で尿検査をし陽性確認。ちょうどその日に治療に来られたので不正出血をとめる治療をしました。

翌日からピタッと不正出血がなくなったとのこと。数日後に病院受診し、胎嚢確認できました。ただ胎嚢のそばに大き目の絨毛膜化血腫があると診断されました。

※絨毛膜化血腫とは胎盤を作るときに何らかの理由でうまく作れず、子宮内に血腫ができることです。代表的な臨床症状は性器出血と子宮収縮。感染症や流産のリスクが高まります。妊娠初期に自然消失することも多いですが、中期まで持続すると絨毛膜化羊膜炎、胎盤早期剥離、羊水過少、胎児発育不全に至ることもあります。

1週間後の受診で心拍確認されました。不妊専門の病院から産院へ転院しエコーでみてもらうと絨毛膜化血腫は消失していたようです。

そのころから日に4~5回10分ほど下腹部がキューとしたりドーンとした痛みあり。横になって休んでも治らない。便秘があったが水分を多めにとるようにして最近は排便あり。
子宮痙攣をとめる治療をしました。1週間後に来院してもらうと前回の治療直後から下腹部痛がなくなったとのこと。とても喜んでおられると同時に鍼灸の即効性にとても驚かれていました。

現在9週になり、順調に大きくなっています。このまま順調に出産までもっていけるよう引き続き経過を見守っていきたいと思います。

妊娠中の副鼻腔炎による鼻炎症状

35歳女性のケース

症状 毎年春花粉症でクシャミ・鼻水・目の痒み・咳がでる。
今年も1月から花粉症の治療を行い、症状はおさえられていたが2月に妊娠が判明し3月ごろからつわりが出だす。
4月に貧血の為鉄剤を服用し更に気持ち悪さが増強し、そこへ息子の風邪を感受して副鼻腔炎を併発する。眉間の間が熱く重い・頭重・鼻づまりで眠りが浅い・鼻水が喉におりて咳・黄緑色の鼻水
脈:浮滑数 淡紅舌薄苔・舌先紅点 顔面診:目鼻のライン紅
治療経過 肺経鬱熱の鼻塞として疏風清熱・排膿通きょうの治療2日おきに4回治療し、上記症状(-)
コメント この患者さんは元来、気血両虚の体質であったが、つわり・鉄剤の服用で脾胃を傷め、そこへ風熱邪を感受したことにより、肺経(東洋医学では呼吸器系全般を包括している)に熱がこもり、肺の粛降機能が阻害され副鼻腔炎になってしまいました。
体は寒がり、手足は冷えているが首から上だけに熱が傾き上下のバランスが崩れていました。元来の脾胃の弱りをフォローアップし、こもった熱をとっていく事で抗生剤を使わずに比較的短期間で治癒にいたったケースです。毎回治療後は鼻が通り、頭痛がとれ治療を重ねるごとに軽快していきました。
妊娠中は薬が使えないので、このような急性症状にも安全に対処できる鍼灸治療は、出産までの体調のケアや安産目的として真価を発揮すると思われる症例でした。

逆子

症状・経過 先日35週の妊婦さんが来院されました。1か月以上逆子の状態で2日後の検診で戻っていなければ帝王切開の日にちを決めるとのこと。
逆子の治療をしたところ、2日後の検診で逆子が治っていたと報告を頂きました。
35週になると8か月のころより確率はさがりますが、今回1回で治ってくれてよかったです。
逆子のお灸をするとだいたい皆さん右の至陰のツボの熱さを感じにくいのですが、その左右差がなくなると治っていることが多いです。
今回の患者さんは最初から熱さの左右差があまりなく、すぐそろったので短期に逆子が治ったのだと思います。

つわり

症状・経過 4月下旬につわりで来院された患者様。1週間前に風邪をひき咳痰が絡む。風邪が治ってきたこの数日、常にムカムカが酷く胃酸が突き上げる感じが日に2回ほどある。ゲップが多く、常に寒気がある。2日後に友人の結婚式があるので何とか少しでも軽くなりたいとのこと。妊娠したことにより衝脈の気が上逆したことと、そこに風邪感受し肺気不宣により飲邪が一緒に上に突き上げつわりが酷くなっていると考えました。散寒と化痰除湿を目的に治療したところ2日後の結婚式はとても調子よく楽しめたとのこと。以来午前中や夕方はムカつきがなく、昼食後と夜にムカつきがある程度になり、胃酸の突き上げも無くなったとのこと。舌も初診は白膩苔がべっとりくっついていましたが、2診目は膩苔がとれ薄白苔になっていました。これは胃に停滞していた湿邪が取れたことを表します。つわりのピークが10週前後、16週を越え安定期に入ると落ち着くことが多いです。治療で少し楽になるのでこの時期をうまく乗り切るのに鍼灸治療は効果的だと思われた一例でした。

逆子治療

症状・経過 先日患者様から逆子が治ったと嬉しい報告を頂きました。28週4日で来院された患者さん、第1子の時も逆子で他院にて同時期に3~4回ほどお灸治療してもらったものの治らず帝王切開になったそうです。今回第2子も逆子になり帝王切開で出産予定ですが、医師から治しておいた方が母子共にいい状態が保てるからと逆子体操を勧められました。3回標準の逆子治療をし検診した結果、治っていませんでした。まだ29週で治る確率が高いのであと2~3回の治療を勧め来院してもらいました。足が極度に冷え、舌をみると舌先が紅く上熱下寒の状態だったので、気を巡らせる治療を追加し2回治療後検診を受けて頂きました。ご本人曰くお腹を蹴る位置が変わったのがわかったそうです。治療をするとすごく冷えていた足が温まり、お腹の張りが軽減され楽になるとのこと。
施術者からみても5回目の治療の時には足の冷えはだいぶ改善されていました。上熱下寒が改善され腹張が楽になることで逆子が治ったのではないかと思われる事例でした。

妊娠中のむくみ

症状・経過 34週の患者さん、数日前に味の塩辛いものを食べてから全身のむくみが酷いとのこと。腰痛も妊娠してから発症。
元々雨の日はむくみやすい。飲食不摂による脾虚湿盛で水湿が運化できずにむくみがでたのだろうと考えて、健脾利水(胃腸の調子を整えて水はけをよくする)を目的に治療しました。治療後むくみがとれパツンパツンだったズボンに余裕ができ靴も楽に履けるとのこと。腰も楽になりました。
足がつるので、パイオネックスという極小の鍼がついたテープを貼り様子をみてもらいます。
1週間後来院してもらうと、むくみは気にならないとのこと。足のつりも大丈夫だったそうです。
妊娠中は色々なトラブルが起こりやすいです。鍼灸治療で改善できることも多いので、ご相談くださいね。
出産まであと少し。母子とも元気で迎えられることを祈っています。

妊娠中の腰痛 逆子

症状・経過 妊娠すると出産に向け骨盤の関節(仙腸関節)が徐々に開いていきます。

元々腰痛持ちだった方、そうでなかった方でも妊娠中に腰痛を発症することは多いです。

逆子で治療を予約されていた患者さん、前日にぎっくり腰を起こしたと来院されました。

動くたびにズキッと痛みが走り、真っ直ぐに腰を伸ばせません。

逆子と腰痛の治療をしたところ、帰るころには楽になったよう。2日後に来院してもらうと、起きるときに少し痛いぐらいで

だいぶ良くなったということでした。

あとは検診で逆子が治っていることを祈るばかりです。

出産日超過

症状・経過 当治療院で治療しながら体外受精をして子供を授かった患者さん、妊娠経過は順調でしたが予定日(5/26)がせまり
陣痛がくるようにと治療を受けられました。第1子の時は予定日超過で促進剤をうち、3日間微弱陣痛が続いて3日目で出産しました。
24日に腎陽を高めてお産が進むように治療。翌日には腰が重くなり28・29日前駆陣痛あり。6月1日にもう1回腎陽を高めお産が進むよう治療をしました。
その翌日自然と陣痛が始まり6時間後に3590gの女児を出産されました。母子とも健康です。
この患者さんは初め、10年ぐらい前に当時私が勤めていた鍼灸院で月経不順・不妊で治療を担当させてもらっていました。
開業してからも治療に来てくださって、2人の子のお母さんになられました。出産の報告を頂き、感慨深いものがあるのと同時に
この患者さんのライフイベントに関わらせて頂いたことへの感謝と喜びを感じます。
よく頑張られたなと思います。きっと素敵なお母さんになられると思います!