症例

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更年期症状 不正出血

52歳女性 初診2021年1月

症状 2020年11月初旬に月経 11月20日から出血が続く
月経3,4日目ぐらいの出血量があり1日数回ナプキンをかえる
10日に1回ぐらい日中に夜用ナプキンをつけていてもあふれる
時々血塊の大きいものが出る 普段も小さい血塊あり
病院で子宮体癌の検査するも陰性 貧血あり
トランサミン錠(止血剤)服用するも不変

治療経過 脾気虚弱による脾不統血 衝任不固としてお灸を主に鍼灸治療しました

2診目 血塊はなくなるが出血は続いている 不正出血が始まってから不眠だったが夜眠れるようになる

2診目の後出血量減り、5日後には止まりました

コメント  長期間(2か月)不正出血が続き、血虚が助長され不眠にもなっていました。
治療は不正出血を止めるツボにお灸をし、脾虚血虚を補うように治療しました
患者様は出血が止まりとても喜ばれており、施術者もお役に立ててとても嬉しいです。
年齢的にホルモンバランスの崩れからくる不正出血だと思いますが、
鍼灸治療をすることでホルモンバランスが整い、出血が止まったと思われます。

無月経 二人目不妊

2018年12月初診 32歳女性

症状 高校生の頃から月経不順だった。2015年11月結婚 月経不順の為2016年3月婦人科受診 クロミッド+タイミング療法
2016年10月他院にて鍼灸治療始める。
10月中旬妊娠 2017年7月出産 2018年8月断乳 
11月婦人科にてホルモン量最低限しかないと言われる 内診でまだ月経はこなさそうなので当帰芍薬散を処方される 12月初旬おりもの増えその後ピンク色の出血1日あり。
遅渋脈 淡紅舌薄白苔やや滑苔 足の冷えがきつい 上熱下寒 衝任虚寒 寒湿内停として
養血温経 補養散寒を目的に週1回治療 補助療法として毎日自宅でのお灸をしてもらいました。
治療経過 4診目後の1月中旬に月経がくる 高温期9日間
2月下旬月経がくる 基礎体温バラつきがある
3月下旬月経 今回排卵期におりものが増え、高温期も15日間続く
1か月治療中断したが、5月初旬に月経が来る
6月初旬月経 
今周期から妊活を始める 排卵期におりものが増え、良い時期にタイミングがとれ綺麗に高温期に移行
高温期が長いので自己検査したら陽性反応。婦人科で胎嚢確認
コメント この患者様は断乳後も月経が再来せず体の不調があちこちにありました。
治療をするうちにあちこちにあった不調が緩解し、月経もほぼ毎月来るようになりました。
体調が整ったことで、赤ちゃんを迎える準備ができ子作りを意識しだしてすぐの妊娠でした。
現在も順調に経過中です。

更年期障害による多汗

初診2018年8月下旬 52歳女性

症状 2015年(48歳)徐々に汗とイライラが気になり産婦人科受診しピル処方される。主訴(-)
2017年(50歳)ホルモン補充療法にきりかえる。主訴(-)1年継続するが9月に中止、そのとたんに汗出るようになる。
12月1月の寒い日でも急に体熱くなり全部服を脱いで窓を開けることが頻繁に起こる。
2月3月漢方・サプリ服用中は症状なし。4月春になり再び汗酷くなる。漢方・サプリを飲んでも不変。
日中3~5回/日 夜1回急に頭頚背部中心に熱くなり発汗。最近毎日寝汗で目が覚める。扇風機をあて眠れる日もあるが
眠れない日もよくある。眠れないと朝から疲労感。

加齢に伴い腎虚がすすみ、肝腎陰虚・内熱・上実下虚によりホットフラッュがおきていると考えました。
滋陰降火を目的に治療しました。週1回治療

治療経過 2診目多汗不変 腰部すべり症があり腰痛が酷い為、その治療も加える。
3診目 腰は少し楽になる。多汗不変。衝脈を意識し治療穴をかえて治療。

4診目 汗の回数少し減り、夜中の発汗量も少し減る。腰も以前より良い。

5診目 夜中の発汗量減る。日中の発汗回数減る。

6診目 夜中発汗しない日あり。

7診目 時々夜中発汗するが、じわっぐらいで以前のような大量発汗しない。日中は1~2回または発汗しない日もあり。

コメント 3診目に治療を再検討し、衝脈の気の上逆に対し主穴(1番基本となる穴)をかえ治療したのが効をそうし、順調によくなっていきました。
産婦人科でも更年期症状が酷く、日常生活に支障をきたすと更年期障害として治療の対象になります。
今回ホルモン補充療法を中止し、主訴が再燃するも鍼灸治療で緩解することができた1症例でした。

更年期障害 (不安感・恐怖感・意欲の低下)

初診2017年4月19日 54歳女性

症状 2016年1月仕事中意味なく不安になる 胸のザワザワ 自宅では急に怖くなり襲われる感じ
加味逍遥散でおさまる 恐怖感はなくなるが不安感は残る
2016年2月閉経

2016年5月仕事辞め、他院にて鍼灸治療を受ける(5月~10月) 徐々に良くなり不安感・動悸はあるものの春には良くなるだろうと明るい展望が出来るようになる
友人とランチしたり外出もできた

2017年1月の寒い日、冷えと疲れから今までに感じたことのない不安感・動悸・不眠・食不振が2~3週間続いた
友人とランチ中不安でどうしようもなくなり帰る 以後友人の誘いは断っており会っていない

2017年2月心療内科で加味帰脾湯 桂枝加竜骨牡蠣湯 六君子湯を処方され2週間で不安感が落ち着いてくる

現在の状況 今まで難なくできたことに対して不安になる その不安も何ものかわからないので怖くなる
働きたいが意欲がわかない イライラもある

治療経過 閉経期におこる急激なホルモン変化による更年期障害ですが、東洋医学的に心脾両虚、肝鬱血虚と症をた益気補血 健脾養心 疎肝理気 補腎益精を目的に治療をしました
治療後は弦脈がゆるみ、手掌のほてりと足の冷えがとれました。自宅でもお灸をしてもらうように指導させてもらいました
最初2週間は週2でその後は週1で治療

最初1か月は胸のザワザワあったり調子のいい日があったりでしたが、1か月を過ぎるころから胸のザワザワが気にならなくなり日帰りですが遠出もできるようになる

5月の終わりには友人と夜外食もできるようになり不安感をあまり感じなくなる

元々梅雨の時期は体調が悪いのですが、6月梅雨に入り不安感が強くなったり、やる気が出なかったり、体のだるさがあり、友人と食事に行くのが不安になる
補腎を強化すると8月ごろには又調子がよくなり胸のザワザワ不安感はほとんんどなる 泊りで旅行に行けたり、友人とも不安なく食事にいける

9月に施術者が産休にはいり治療は一旦休止しましたが、2018年7月現在仕事も週2回行けるようになり、不安感もなく過ごされています。
体表観察としてツボの状態をみるのですが、初診当初は腎と脾と心のツボの虚が激しく、ベコベコで全く力がない状態でした

治療をするうちにそのツボの状態が良くなり、張りが出てくるのと並行して体調も改善していき、今では体つきもふっくらし顔色もよくなりました

コメント この方はベースが脾の弱りなので胃腸の働きを強化するように毎回治療し、その日の訴えに応じて疎肝を意識したり補腎をして治療していきました
閉経前後5年ずつを更年期と呼びます

45歳から55歳頃に更年期を迎える方が多いですが、この時期に検査では特に異常ががないけれど、身体的症状や精神的症状(ホットフラッシュ・めまい・頭痛・全身倦怠感・不眠・憂鬱・不安・やる気のなさ・落ち込み)を呈するものを更年期症状と言い、それが酷くなり日常生活に支障をきたす状態を更年期障害と言います

西洋医学では急激な女性ホルモン低下をホルモン補充療法で治療するのですが、ホルモン補充が出来ない方、副作用が気になる方は東洋医学(漢方・鍼灸)での治療を希望される方も多いです

鍼灸治療は自律神経やホルモンバランスを整える、リラクゼーション効果、血流改善を期待できます

今回の症例は更年期に自身の環境の変化や疲れをきっかけに精神症状を発症したケースです

東洋医学的に今の体の状態や発症機序をご説明したり、治療後の体の変化(脈や舌、ツボの状態の改善)をお伝えすることでご本人も納得されたり安心された様子でした
コミュニケーションがうまく取れ治療が奏効した一例でした

冷え・易疲労・ホットフラッシュ

56歳女性のケース

症状 10年前からホットフラッシュ発現。仕事中や緊張時、夏場に頻繁に起こる。
2年前から疲れやすくなり、足の冷え・手のほてりがひどくなる。その頃漢方薬を処方してもらい、以前より足の冷えが改善されるが、体幹(腹・腰・大腿)の冷えがきつくなる。夕方冷えが強まり、生あくびが頻繁にでる。
随伴症状に不眠・動悸・頻尿・顔や頭ののぼせ多汗・便秘など
治療経過 週2回の治療
1診目 素体は腎陽虚であり、少陽病で寒熱挟雑していると考え、温補腎陽・少陽経の調整を目的に治療。
3診目 入浴中も冷えを感じていたが最近(-)ホットフラッシュ(↓↓)経過良好の為週1回の治療にする。
7診目 冷えは感じなくなったが体のけだるさがあり、朝から疲れている。肺気虚の治療を加える。
11診目 けだるさ(-)その後、仕事で長時間の立ち姿勢の為、膝痛や足の違和感があり体調管理で数ヶ月治療を続ける。
治療終了時には、よく眠れるようになり、仕事が忙しくてもあまり疲れなくなる。
コメント 女性の閉経の平均年齢を50歳として、その前後5歳(45歳~55歳)ぐらいにホルモンバランスの乱れから更年期症状が個々により強く出たり、かるく済むことがあります。
その時期にストレスが強くかかったり、オーバーワークなど、体に負担がかかると何年たっても更年期症状が続き、なかなかそこから抜け出られないということがあります。鍼灸治療により、腎気(加齢で衰える)を補い、体の陰陽バランスの崩れを調整する事で、様々な不定愁訴が改善され、早くひどくならずにその時期を抜け出ることが出来ると考えています。

不妊・子宮腺筋症による諸症状

35歳 女性のケース

症状 月経4日目から大量に血の塊が出るため貧血による動悸、息切れ、頭痛、全身倦怠感、耳鳴りが悪化する。
鎮痛剤、鉄剤でしのいでいる。
産婦人科で不妊について相談したところ、子宮内膜が凸凹して着床しにくいため、人工授精を勧められる。
本人は、自然妊娠を希望して来院された。25歳から月経痛、月経過多、貧血徐々に悪化。28歳第1子出産。出産後も症状は悪化しMRIにて子宮腺筋症と診断。6ヶ月間ホルモン注射にて月経を止める。
その間体の調子は良くなるが、病態の改善はみられなかった。月経量は通常一般女性でトータル20~140グラムだが、その10倍も多く、血液検査では月経後、貧血の状態をみる数値が通常の10分の1以下になる
治療経過 週2回の鍼灸治療
2診目 月経後2日目だが動悸全くない。
4診目 月経4日目 貧血症状なし。
5診目 婦人科受診 血液検査の数値がいつもより少し良い。排卵痛も軽かった。仕事が忙しく週1回の鍼灸治療 自宅で補助療法としてお灸をしてもらう。
8診目 1週間前から月経、月経痛はあるが、前回の月経量より3割減る。4日目から出る大量の血の塊も少量だった。貧血による諸症状も全くなし。
11診目 月経後の血中ヘモグロビン値(貧血の状態がわかる)が今までで1番良い。排卵痛なし。週2回鍼灸治療。
13診目 数日前から月経 4日目からの大量の血の塊はない。貧血症状なし
コメント 治療をはじめて5ヵ月後に妊娠していることが分かる。

更年期症状(胸のザワザワ・不安感・恐怖感)

症状・経過 53歳女性 8月上旬に嫌な気持ちがあり、中旬ごろから加味逍遥散・滋陰至宝湯を服用しているが不変。水が怖くなり水分が取れない。歯磨き・入浴中に外に出たくなる衝動にかられる。お腹はすくのに怖くて食べられない。食べると動悸がする。ホットフラッシュ落ち着いていたが、最近頻繁になる。特別な理由がないのに恐怖感が生じ、精神不安になることを東洋医学では【善恐】といいます。この方は症状が出る前に大きなストレスがあったということで肝胆不足の善恐として治療しました。
肝鬱気滞→化火→心肝化旺→陰血不足→心不養→心神不安 
2診目(2日後) 治療した夜からザワザワ↓ 翌日症状なし 今日朝からザワザワして食べ物受け付けない 同処置
3診目(3日後) 前回治療した夜友人と食事。終わりがけにザワザワ。 翌朝ザワザワ。ウオーキングや体操して気を紛らわせていたら落ち着く。今日は食事とれる。肝血を補うようツボを変える。
4診目(1週間後) 調子よい。ザワザワしそうな気配あってもならずに済んでいる。ホットフラッシュも減っている。
5診目(2週間後) 3日前夕方ザワザワ不安になる。翌朝(-)
6診目(2週間後) 落ち着いている。1回ザワザワあったがすぐ治る。食事もとれる。
だいぶ良くなったので様子をみてもらうことにしました。更年期症状は人により様々なかたちで出現します。今回は精神不安という症状が一番強くでたケースでした。
ホルモン補充をしなくても、鍼灸で体のアンバランスを整えることで症状は改善されます。