症例

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鍼灸治療が初めての方は、自分の症状はどれぐらいの頻度で、どの位の期間通えばいいのか知りたいと思います。
その方により体質、病歴、病の程度が違いますので、実際に診察してみないと何とも言えませんが、一般的には病にかかった期間が長かったり、病状が重ければそれだけ治療期間もかかり、病状が軽かったり、病に罹ってから日が浅ければ、治療期間は短くなります。

通院頻度としては、1回目の治療作用が消えないうちに2回目の治療をしたほうが効果が高まりますので、最初のうちは週に2~3回、症状が緩和してきたら週1回、10日に1回というように間隔をあけていくのをお勧めします。

長期にわたる疾患の場合、数回治療しないと変化が表れないことがありますが、その間に一番つらい症状だけでなく、その他の気になる症状が緩和されるなど、何らかの良い効果が期待でき、体が快方へ向かっているのを感じられると思います。

鍼灸治療を継続するなかで、もし不安な事や、心配事、疑問がありましたら、いつでもお気軽にお話ください。
多くの症例のうち一部を載せましたが、例え同じ病名でもその方の症状の程度や生活環境、食生活、仕事の状況などにより、治り方や治るまでの時間が違いますので、それをご理解のうえ、参考にしていただければ幸いです。

つわり

症状・経過 4月下旬につわりで来院された患者様。1週間前に風邪をひき咳痰が絡む。風邪が治ってきたこの数日、常にムカムカが酷く胃酸が突き上げる感じが日に2回ほどある。ゲップが多く、常に寒気がある。2日後に友人の結婚式があるので何とか少しでも軽くなりたいとのこと。妊娠したことにより衝脈の気が上逆したことと、そこに風邪感受し肺気不宣により飲邪が一緒に上に突き上げつわりが酷くなっていると考えました。散寒と化痰除湿を目的に治療したところ2日後の結婚式はとても調子よく楽しめたとのこと。以来午前中や夕方はムカつきがなく、昼食後と夜にムカつきがある程度になり、胃酸の突き上げも無くなったとのこと。舌も初診は白膩苔がべっとりくっついていましたが、2診目は膩苔がとれ薄白苔になっていました。これは胃に停滞していた湿邪が取れたことを表します。つわりのピークが10週前後、16週を越え安定期に入ると落ち着くことが多いです。治療で少し楽になるのでこの時期をうまく乗り切るのに鍼灸治療は効果的だと思われた一例でした。

副鼻腔炎

症状・経過 4月中旬に子供の風邪がうつり副鼻腔炎になった患者さん。抗生剤を服用するも、額・眉間・鼻の周囲の重さ、鼻づまり、黄緑色の鼻水痰、咳がでるとのこと。沈数脈で白膩苔、舌先紅 腹診で脾肺部分に冷え(気血の滞りを表す)胃経に熱がこもっているので、胃経の熱とりの治療をしました。治療後は鼻が通り、重さが少し楽になったとのこと。翌日も来院してもらうと、咳は減るが重さが取れないとのこと。同じ治療をし、治療後は舌先の赤みが減り(熱が取れたことを表す)重みが少し楽になりました。1週間後に来院してもらうと一旦良くなったものの3日前から咳、昨日から眉間・鼻周囲の重さがあるとのこと。湿熱をとる治療をすると、治療後は重さがなくなりました。その数日後メールにて、重さがなくなり調子よいとのご報告がありました。長引くスッキリしない副鼻腔炎症状も鍼治療をすると早く良くなります。

膀胱炎

症状・経過 4月中旬に来院された患者さん。3月の月経をきっかけに残尿感、頻尿、排尿痛、下腹部の痛みなどの膀胱炎症状が現れたとのこと。泌尿器科を受診しても菌はないとの診断。念のため抗生剤服用するも効果なし。3月下旬に心療内科で自律神経を整える薬を処方され少しましになるが、1時間ごとに尿意あり、残尿感が残る。2月3月に息子さんの受験で心配、ストレスが多かったとのこと。何か集中していると忘れるが、何もしないでリラックスしているときや気になりだすと症状悪化する。脈は渋数 偏紅舌で舌先紅 下腹部張り 思慮労心して心火が太陽小腸経⇒同経の太陽膀胱経へ移行、更年期ということもあり腎陰が消耗し、清濁分別不可から排尿異常がおこったと考え治療しました。治療後は心火を表す舌先の赤みが減り、下腹部の張りも楽になりました。1週間後に来院してもらうと鍼治療した2~3日調子よく全く気にならない日もあったとのこと。来院された日は少し症状がありましたが、同じ治療をし、治療後は症状がなくなりました。このように菌がなくてもストレスから膀胱炎症状をひきおこすこともあります。数回治療すると完治すると思われます。

逆子治療

症状・経過 先日患者様から逆子が治ったと嬉しい報告を頂きました。28週4日で来院された患者さん、第1子の時も逆子で他院にて同時期に3~4回ほどお灸治療してもらったものの治らず帝王切開になったそうです。今回第2子も逆子になり帝王切開で出産予定ですが、医師から治しておいた方が母子共にいい状態が保てるからと逆子体操を勧められました。3回標準の逆子治療をし検診した結果、治っていませんでした。まだ29週で治る確率が高いのであと2~3回の治療を勧め来院してもらいました。足が極度に冷え、舌をみると舌先が紅く上熱下寒の状態だったので、気を巡らせる治療を追加し2回治療後検診を受けて頂きました。ご本人曰くお腹を蹴る位置が変わったのがわかったそうです。治療をするとすごく冷えていた足が温まり、お腹の張りが軽減され楽になるとのこと。
施術者からみても5回目の治療の時には足の冷えはだいぶ改善されていました。上熱下寒が改善され腹張が楽になることで逆子が治ったのではないかと思われる事例でした。

幼児の夜中の咳き込み

症状・経過 1歳4か月の女の子、4月初旬から保育園へ通うようになって鼻水咳が出だす。中旬に発熱し、突発性発疹と診断される。解熱してから夜中の咳き込みが酷く眠れないとのこと。黄緑色の鼻水・痰があり、機嫌が悪く食欲もおちている。小児科で処方されたアスベリン(鎮咳剤)カルボシステイン(去痰剤)ザイザル(抗ヒスタミン剤)ツロブテロール(気管支拡張剤テープ)夜寝る前の咳止めを服用しているが効果がない。体をみると首から肩にかけ過緊張がみられ、腹部もかなり張っていました。小児はりをし、2日後に来院してもらうと、治療した夜は咳をせず朝まで眠れ、翌日は久しぶりに4時間昼寝したとのこと。昨晩は朝方咳があったが、夜中は咳をせず眠れたそうです。機嫌も少し良くなり、食欲もでてきました。初回は泣いていましたが、2回目は笑顔をみせてくれました。夜眠れると体も回復するので、順調に改善していくと思います。子供の回復力はめざましいです。

逆流性食道炎

症状・経過 1か月前から頻回のゲップ、常に喉から胸にかけつかえた感じでムカムカするという症状で来られた患者さん。
2~3キロ太ったのと草取りをお腹を圧迫した状態でしたのが原因とのこと。一昨日から服薬するも効果がでないので来院されました。
食滞の曖気(ゲップ)として消食導滞、理気和中を目的に治療しました。2日後に来院してもらうとゲップはだいぶ減り、何も食べなければつまり感はないとのこと。バナナなどつまり易いものを食べるとつまり感があるが、以前ほど酷くないとのことでした。3診目には喉に違和感があるが、胸の辺りは感じないとのこと。4診目には喉の違和感も減り、6診目には症状がなくなり、治療を終了しました。勿論患者さんには姿勢や、食事など指導させてもらい気を付けてもらったので、3週間ほどの早期に治癒したのだと思います。逆流性食道炎は再発しやすいので、これからも食事や姿勢を気を付けるように指導させてもらいました。

胃痛・腹痛

症状・経過 稽留流産の手術を受けた後から胃痛・腹痛を発症した患者さん、2~3回の治療で順調に回復されました。
主訴は空腹時<食後、胃を刺されたような強烈な痛みが1分ぐらい続き、治まるを繰り返す。日中波がある。食欲なし。横になると楽。
下腹部にジンジン鈍痛があり、便が腸を通過して排便するまでの間、ガスが腸を動きガスが出るまでの間、ツーンと刺す鋭い痛み。排便、排ガスで楽。
ope後、胃痛・腹痛・身体のだるさがありずっと横になって安静にしていたが、来院された日はお子さんの入園式で久しぶりに出歩き疲れたとのこと。昼食にお寿司を食べた後、酷い胃痛と大量の下痢になり受診されました。オペ後に抗生剤を服用していたこと、オペ後、疲れた日にお寿司を食べに行ったことが原因となり寒邪が胃に入ったと考え(寒邪犯胃)温胃散寒を目的に治療しました。治療後は舌色が明るくなり、胃の膨満感が減り、脈力がでてきました。生野菜、生ものは胃を冷やすため暫く摂取するのをやめてもらい、2日後に来院してもらいました。前回後排便はなく、ガスが動いても腹痛なし。
胃痛は以前ほど酷くないが、昨日は夜中チクチク痛むので少し食べたら落ち着く。同処置。4日後来院してもらうと軟便だが腹痛なし、胃痛もだいぶ良くなり、食後チクチクするが夜中の痛みはなく食べられるようになってきた。同処置。1週間後来院。胃痛腹痛なく、普通に食べられるようになる。治療後はべったりついた舌苔が薄くなり、舌色が明るくなることからも寒湿邪が取り除かれたことがわかります。今後は妊活のために鍼灸治療を継続されます。

幼児脱毛

症状・経過 2月に来院した4歳の女の子、頭頂部中心に広範囲に脱毛が広がっていました。
抜けだしたのは12月上旬。朝枕や服に多量に髪の毛がつき、この頃から頭皮の痒みフケが気になるようになりました。
12月中旬からさらに抜け毛が増え、脱毛範囲が広がりました。近医を3軒回りステロイドローションと育毛剤を処方されるも脱毛範囲が広がり、抜け毛が減らないため当院を受診されました。
原因は不明。アレルギーなし。施術者的には1年前に弟が生まれ、愛情を独占できないフラストレーションが体に表れたのではないかと推測します。
頭頂部の脱毛部は熱を持ち熱く、赤い湿疹ができていました。頸肩背部は過緊張。小児鍼をし、頭頂部は熱(炎症)を散らすため銀古鍼で散鍼しました。
治療後頭部の熱感は減少。週2回ペースで1か月来院して頂きました。4診目には朝枕についている脱毛が減り、頭頂部熱感赤みが減ってきました。
8診目には脱毛が減り、頭頂部の熱はなくなり、毛根が見えてきました。3月に入り、当院では週1回の治療。つるつるだった頭皮に産毛が見え出してきました。さらに皮膚科で処方された抗アレルギー剤を服用し赤外線を当てる治療を加えました。3月下旬にはだいぶ産毛が生えてきて4月初めには産毛で頭皮が埋まってきたため治療を終了しました。
特に脱毛原因は特定できませんが、3~4歳は色々なことが理解できるようになります。情動と知性がかみ合わなくカン虫症状の一種として脱毛という形で体に表れたのではないかと推測します。小児鍼で自律神経を整え、銀古鍼で局所の炎症をとることで、改善へ向かった一例です。

子供の吃音(どもり)

症状・経過 5歳の女の子、吃音(どもり)が主訴で去年の暮れにご友人の紹介で来院されました。幼稚園に入学した頃から吃音が始まり、夏休みなど長期休暇に入ると一時的に治ります。今回は去年の11月頃から幼稚園へ行きたがらず、12月初旬に無理に連れて行ったら吃音が出だしました。お母さん曰く性格は我が強く、マイペースで緊張しやすいとのこと。『よ、よ、よーーちえんで、』などスムーズに言葉が出ず、本人も気になるぐらいでした。
治療した日から学校がお正月休みということもあってか、翌日からどもりは出ず、お正月明け幼稚園へ行きだしてもどもりは出ませんでした。
2月に入り、自分の言いたいことを話すときに少しどもりますが、以前ほど酷くはありません。最初施術者に対して緊張して様子を伺っている感じでしたが、慣れてくれ今はリラックスしている感じです。3月に入り、どもりはあまり気にならなくなりました。4月から入学なので、経過観察です。

子供の音声チック・頭痛

症状・経過 12月中旬に6歳の女の子が2か月頃前から毎日続く後頭部痛・咳払いウッウッという音声チックで来院されました。
お母さん曰く、もともと感受性が強く、気が利いて手のかからない子で下の子が生まれてから色々我慢していることはあったと思うと。
夏ごろクラスメートに強く言われると泣くというのが2週間続き、そのころから急に不安感がでるようになり、母がそばにいないと一人置いて行かれる不安感があるそう。集中しているときに出たりでなかったり、何が悪化原因か緩解原因か不明。
身柱~神道凹・太けい~照海虚 下腹虚軟 小児鍼をし、太けいに金鍼をあてる治療を行いました。
3回目の治療の時にはチックが以前より気にならなくなり、5回目の治療の時には、頭痛チックともでなくなりました。
1か月後久々に来院されましたが、調子よくどちらも症状はでていないとのことでした。

子供は全ての体験が未知のことなので、不安になりやすいと思うのですが、感受性の強い、センサーがすぐキャッチしてしまう子ほど身体症状にでやすいです。不安に思う気持ちをまだ十分理解して言葉に表せないので、頭痛・チック・吃音・腹痛・発熱・カン虫など様々な身体症状として表れます。小児鍼で自律神経を整えたり、リラックスさせるということももちろん症状の改善に効果的ですが、何をおいてもまずお母さんがお話を聞いてあげたり、理解を示してあげてスキンシップの時間を短時間でも毎日とってあげるということが重要なのではないかなと思います。子供はお母さんとの関わり方でどのようにも変わる、そう感じます。