症例

TOP > 症例  > 

アレルギー大学の講習を受けてきました(アトピー性皮膚炎の治療と対応)

先日アトピー性皮膚炎の講習がありました。全人口の1/3~1/2が何らかのアレルギーに罹患しており、今やアレルギーは国民病になっています。幼少期にアトピーがあっても治癒していくことも多いですが、元々アレルギー素因(免疫機能異常)があり、バリア機能の障害が続くと成人アトピー性皮膚炎に移行していきます。アトピー性皮膚炎の表皮は免疫反応の亢進と乾燥肌で異物が入りやすく、炎症しやすいという状態にあります。どうして乾燥肌になりやすいのか?それはフィラグリン遺伝子変異が関与していて、この遺伝子変化がバリア機能の低下を誘発しているということです。
乳幼児期に湿疹があると経皮感作を受け食物アレルギーになりやすいのですが、食物アレルギーの予防において経皮感作のリスクを下げるためには湿疹やアトピー性皮膚炎の治療を速やかに行うことが大切です。原因アレルゲンの食べ物の摂取を避けても食物アレルギーの発症予防の効果はありません。
アトピー性皮膚炎の肌では、掻けば掻くほど痒くなり、夜間に痒みが増します。このメカニズムとしては刺激(掻破行動)により痒みを感受する知覚神経が角質直下まで伸びてくるため痒みに敏感になります。夜間に痒みが増すのは夜間に角質水分蒸散量が増え肌が乾燥し皮膚のバリア機能が低下すること、皮膚温、深部体温の上昇による鬱熱が痒みの原因になります。痒みを抑制することで湿疹が軽快するので、痒みコントロールは重要です。痒みがあればまずアイスノンなどで冷やしてあげると楽になります。気分転換することで痒みをまぎらわせたり、汗をかいたらシャワーをあびたり、拭いてあげることも大切です。
治療はまずはステロイドで炎症を抑え、日常のスキンケアで良い状態をキープするのがベストです。
ステロイドは怖いと思われがちですが、ステロイドを適正に使用すれば心配はいりません。ステロイドを適正に使って経過をみてくださる皮膚科やアレルギー科の先生を探しましょう。自己判断で塗っては中止し、また再燃したら塗ってを繰り返していると、湿疹が長期化しなかなか改善しません。
まず強めのステロイドで炎症を沈め、緩解したら強さや頻度を減らして保湿で維持していけばステロイドの副作用は避け、いい状態の皮膚を維持することが出来ます。
成人のアトピー性皮膚炎の治療をさせてもらい一皮むけてすごく綺麗な肌になった症例がありますが、治療は週1回2年ほどかかりました。
成人のアトピー治療はなかなか難しいですが、根気よく治療を続けていくと、アレルギー体質も改善していきます。