平成28年7月中旬 1歳2か月女児のケース
症状 | ≪既往歴≫水腎症による尿路感染で4回入院治療 生後からミルク 6か月から離乳食始めるが1~2さじぐらいしか食べない。ミルクは経管栄養で鼻からとる。180ml×5回/日。6月から1週間おきに嘔吐が続く。元々ゲップが苦手で時々吐いたり、えずくことあったが原因はわからない。 1日目ミルクの後2回に1回ぐらいの割合で吐く。2日目ミルク後毎回吐く。3日目胃に何も入ってないのにえずく。4日目食べれない、眠れない状態になりぐったりして入院。この状態になると痙攣しながらえずくのでお母さんも一睡もできない状態になる。 病院の検査では器質的な問題ないので、周期性嘔吐が疑われると説明される。6月2日入院。点滴するとケロッと元気になる。腎臓の検査入院の時期と重なり6月22日退院。その間にも1回同じような嘔吐周期があった。 帰宅して1週間ぐらいするとまた嘔吐周期がやってきて7月7日から1週間入院。 |
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治療経過 |
小児鍼で治療。とても皮膚が薄く、やわらかい。横隔膜の場所にあたる膈兪あたりの緊張、右の脾兪胃兪あたりに冷えがみられる。軽刺激で治療。 連日又は隔日で治療。 2診目 いつもだと今週末から嘔吐始まる。排便1日1回から1日4回に増える。形状は同じ。 同治療後右脾兪胃兪あたりの冷え改善。 3診目 今の所嘔吐大丈夫。一昨日予防接種で昨日発熱。今日下がる。同部位の冷えあり。治療後発汗。 4診目 昨日からミルクを入れると吐く。吐けば元気になる。同部位の冷えなし。太白(胃腸のツボ)に古代鍼の金鍼(補う目的) 5診目 ミルクの後、寝起きの後空えずき。少量づつミルクあげている。毎回は吐かない。気持ち悪いのか機嫌悪い。夜眠れる。3回排便。同治療後機嫌よくなる。 6診目 ミルクを小分けにしてゆっくり入れている。機嫌悪い時間多い。いつもならミルクを入れられなくなるが、今回はまだ少しづつでも入れられるのでいい。膈兪緊張、脾兪胃兪あたりの虚。同治療後発汗。 7診目 朝100mlミルクあげ吐く。以後30mlづつあげる。吐かないがえずく。夜は眠れる。小児鍼してから脾兪(虚)の部位へ金鍼をあてる。 8診目 寝る前100mlミルク上げて吐かなかった。あげるとえずくがミルクはとれていて眠れる。脾兪胃兪の冷え治療後温まる。 9診目 ピークを越えた感じがする。寝る時200mlあげても大丈夫。日中も100mlあげても吐かない。えずきも酷くない。元気、眠れる。膈兪の緊張(-)脾兪の虚↓ 明日から実家へ1週間帰省 週1回の治療 14診目 調子よい |
コメント | 原因不明の嘔吐でしたが、体表には赤ちゃんなりの反応が表れていました。 とても繊細な皮膚なので、刺激量に気を付け、虚の反応(くぼんで冷えている)を示す場所に金鍼で補いました。 動画で吐いている映像を見せてもらいましたが痙攣しながらえずく様子は本当にかわいそうで、親だったら心配で一睡もできないのはよく分かります。 小児鍼を始めて吐いたりえずくことはあっても眠れ、一応ミルクはとれるので脱水にはならず全身状態は良好でした。 いつもお顔を見せてくれるとニコニコと元気よく、顔色も良かったです。 体重も増え、活動量も増えたという副次効果もありました。 鍼を信じて通って下さったお母様に感謝します。 最近は難病治療に鍼灸治療が効果的であるという症例も数々紹介され、 西洋医学では原因が分からず、対症療法しか無かった今回の症例も鍼灸治療の可能性を感じる一例でした。 |