先日三重大医学部緩和センター丸山先生の『痛みと交感神経』という講義を受けてきました。
痛みの刺激が脳のどこを伝わっていくのか、痛み刺激が交感神経を刺激するメカニズムを学んできました。丸山先生は麻酔科で日々患者さんの痛みに向き合われていますが、鍼灸治療で麻酔や内服薬と同じように痛みを緩和できるとおっしゃっていました。鍼灸治療で脳内からセロトニンという鎮痛物質が放出されること、中脳の下行性抑制系(痛みを抑制する)を活性し痛みを緩和することが証明されているとのことでした。
痛み刺激は情動(喜怒哀楽)を担当する大脳辺縁系に伝わるので、情動で痛みが左右されます。また不安・イライラ・心配があると中脳の下行性抑制系が抑えられるので痛みを強く感じます。痛みの理由がわかると安心して回復しやすいというのはこのことからもわかります。
怒り、ストレス、長時間の同姿勢が交感神経を緊張させ、筋肉を収縮させます。筋収縮により血流障害がおこり虚血、乳酸(発痛物質)が蓄積され、それが肩こり腰痛の原因の一部となります。ストレッチ、リハビリ、傾聴、心理、鍼灸、さすり、薬、ブロック注射など多面的にアプローチできるとのお話でした。
痛みの感じ方が心理状態で変化したり、鍼は和痛だけでなくリラクゼーションの役割も担うとはわかっていましたが、改めて講義を受けそのメカニズムを勉強することで確信できたことが大きな収穫でした。